ザ・ベスト・オブ・サキ1

◎『ザ・ベスト・オブ・サキ1』 サキ著 中西秀男訳(ちくま文庫) →65/100点


・「アン夫人の寡黙」
これはオチが、アン夫人は死んでいるというもの。僕が、本をいい加減な持ち方で読んでいたので、途中でページがめくれてオチを読んでしまった。
妻を怒らせてしまった旦那の恐怖が書きたいのだろうと油断していたら、唐突にページの途中でオチを見てしまって「うわっ」ってなった。
そのオチは、そのくらい気づけよ、と云われるようなものかもしれないけど、楽しめた。


・「ある死刑囚の告白」
「アン夫人の寡黙」を読んだ後だったので、どんなオチなのか身構えながら読んだ。意外とあっさりと、終わってしまった。
術中にはまった気がして少しくやしい。


・「女性は買い物をするか」
〈とにかく、結局、吸収紙は買えずじまいだった。〉という最後の文に集約されていく。
女性が、買い物をしない生き物であるということをくどくどと述べるところから小説がはじまる。

しばらく読み進めると「つい二、三日前のことだが〜」と書いてあったので、ようやく本編が始まると思ったのだが、
読み進めていくと、いつのまにかまた女性がいかに買い物をできないのかという話に戻っている。

ようやく本編が始まるのはかなり後半になってから。しかし、その後半は「ニ、三日前の午後のことだが〜」という始まりなので、また、女性がいかに買い物を買えない話に戻るのではないかと思ってしまった。
そんなことはなく、ようやく時間が進みだすのだが、結局、最後の一文まで読み進めると、結局は女性が買い物をしない話のまま小説は終わってしまう。