〈われわれの武器は、文字だよ、言葉だよ、文章だよ。それについて、われわれはどれだけ訓練しているか。それで言葉はむなしい、文章は力のまえによわい、なんて平気で言うんだ。

ぼくは、そう思わんよ。ぼくはやはり、ペンは剣に勝つと思うんだ。思っているだけじゃ、だめだ。剣が訓練している何倍も、ペンもトレーニングしなくちゃ、だめなんだ〉
酒井寛『花森安治の仕事』、(元木昌彦『週刊誌は死なず』より)


〈高度成長期からずっと、「努力すればもっと上がる」みたいな幻想があって、いまだに国全体が成長幻想にとりつかれ、衰退恐怖におびえている中で、自分はこの程度でいいんだと見極めをつけたり、こんなささやかな幸せで満足だと納得したりしてはおしまいだ、もっと上を目指せといった強迫観念が社会には強いのではないでしょうか。〉
『勝間さん、努力で幸せになれますか』勝間和代、香山 リカ