「或阿呆の一生」

□「或阿呆の一生
彼は日の暮の往来をたった一人歩きながら、おもむろに彼を滅ぼしに来る運命を待つことに決心した。
彼の作品の訴えるものは彼に近い生涯を送った彼に近い人々のほかにあるはずはない。


□映画「バード」
おれたちは同じ黒人だが
おれは改革者
お前は殉教者だ
記憶に残るのは殉教者だ
お前は死んでから
伝説になる
世間も認める
お前を葬ってから
ようやく褒めたたえるんだ
そしておれは
そんな世間の一部だし
死んだらそれきりだ


□映画「マディソン郡の橋

〈2人を愛してるわ 心の底からね
幸せになるため 手を尽くしなさい
この世は美しいものよ
よく生きて 私の子どもたち〉


視線が気になった。いくつかある。クリント・イーストウッドが去った後に、メリル・ストリープが彼が行った方向をみる。すると長いアイオワの田舎の一本道が続いているところ。それと、町でイーストウッドが車で左折、直進したメリルが建物で見えなくなるまで目で追うところ。別れるときにだんだん距離ができていったり、さっきまであったものがそこにもうなかったりするだけで、意味ができる。